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優陶磁器とは、陶土や良質の粘土を主原料とし、これに長石や石英をまぜて焼いて造ったもので、一般的に”やきもの”といわれるものの総称。起源は人類の文化が芽生えた数千年前にさかのぼると言われ、日本においても、中国や朝鮮半島の影響を受けて発達しながら、17世紀以降日本独自の作風がつくり出されるようになりました。原材料や焼成温度などにより分類されており、陶器は粘土、磁器は石の粉末を用います。また、素焼きしたものに釉薬をかけることで風合い変りますが、この釉薬は現在何千もの種類があるといわれおり、陶磁器の可能性の深さを感じることができます。有田、瀬戸、唐津、美濃、笠間、益子、その他にも産地が全国的にあり、その違いを楽しむことができます。
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2010年プロジェクト index
日本の伝統文化や技術の継承と発展を支援することを目的に生まれた、TAKE ACTION のREVALUE NIPPONPROJECT。プロジェクトでは、毎年ひとつの分野をテーマに、有識者によるアドバイザリーボードを結成、各メンバーが注目の工芸家とあらゆる分野のアーティストを選出しコラボレーションで作品を制作することにより、その過程や、異なるジャンルの競演から生まれる新たな魅力を伝え、工芸に新たな可能性を見出すことを目的としています。
2010年、プロジェクト初年度のテーマに選ばれたのは、”陶磁器”。現代陶芸論の第一人者といわれる金子賢治氏、21世紀美術館秋元雄史氏、ストリートカルチャーのカリスマである藤原ヒロシ氏、日本の編集者松岡正剛氏といった各界の権威をアドバイザリーボードとして迎え、各アドバイザーが選んだ工芸家と、アーティストによるコラボチームを編成、各チームが素晴らしい作品を制作してくれました。
秋元雄史監修 見附正康 × 佐藤オオキ
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プロジェクトの話を聞いて、すぐに見附さんの名前が浮かんだという秋元さんは、そのコンピューターグラフィックのような精密な赤絵を、“今”に落とし込むデザイナーとして、佐藤さんに声をかけました。“アナログとデジタルの見直し”“伝統技術のコンパートメント”といったテーマで、佐藤さんが提案したのは、セラミックのスピーカー。
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金子賢治監修 和田的 × 佐藤卓
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卓越した集中力で、シャープな角度や線を作り上げるその真摯な姿勢を高く評価した佐藤さんは、和田さんが作る香炉に、長体・平体をかけることを提案。5つが1セットとなる香炉たちの、その変化は、何と、ひとつずつのサイズを00%、00%という細かい数字を佐藤さんが指定。
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完成した作品は、凛とした美しい香炉が整然と並び、サイズの変化による表情の違いを楽しめる作品となりました。まさに、佐藤さんの計算と和田さんの技術が見事にコラボレーションしています。
藤原ヒロシ監修 新里明士 × 宮島達男
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新里さんの作品を一目見てデジタルっぽいと感じた藤原さんは、コラボレーション相手として、直感的に宮島さんを選出。新里さんの作品に宮島氏のデジタルが浮かび上がるイメージがすぐに浮かんだという藤原さんの意向を伝えると、初回の打ち合わせから全員の意見が大いに交わされました。
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松岡正剛監修 林恭助 × 町田康
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織部とは、千利休の後で茶の湯の第一人者と呼ばれた古田織部が好んだといわれる焼き物で、土岐はその地元。偶然にも松岡さんは、織部の創造的な発送を現代に甦らせることをコンセプトに開催されていた「織部賞」の総合プロデュースも勤めていました。鉄釉を施し焼成が完成した際に窯から引き出し急冷、鉄釉を漆黒色に発色させる“引き出し黒”という技法で、茶碗の図柄を松岡さん・町田さんが担当。
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中田英寿監修 奈良美智 × 植葉佳澄
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奈良美智さんが最近陶芸をしているという噂を聞きつけた中田は、すぐに奈良さんにオファー。奈良さんに快諾いただき、そのコラボレーション相手として選出したのが、日本の伝統的な図柄や絵付けの勉強・研究を重ね、独自の世界観を作り出してきた植葉佳澄さん。偶然にも、知り合いだったという二人は、初回の打ち合わせから盛り上がり、デッサン画を描きながら、アイディアをぶつけ合いました。
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